薬・薬局

いつもの薬が切れそう!日本で同じ薬をもらう方法を解説

海外の処方箋は日本では使えません。日本の医師に常用薬を再処方してもらう手順、1回の処方で出せる日数、リフィル処方箋、ジェネリック、費用の目安を解説します。

この記事の医学監修

別府 仙梨Senri Beppu, MD

倉重病院 理事長・循環器内科医

日本語版は、私が医師として確認しています。

日本に住む海外の友人が多く、日本でどのように医療を受けたらいいのか分からず困っているという話をよく聞いていました。また、医師として働く中で救急外来に来られる海外の患者さんの中には「自分の国の言語が通じるところがない。」「どこを受診すれば良いか分からない。」などのご意見をいただき受診するだけでもハードルが高い事をより感じました。何か助けられる手段はないかと考えている時にJapan Medical Pressと出会い関わらせていただきました。日本語を母国語としていない一人でも多くの方が日本で安心して医療を受けられるように分かりやすく正しい情報を提供させていただきたいと思います。

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要点
海外の処方箋
無効。日本の医師が再処方
処方箋の有効期間
交付日を含めて4日
リフィル処方箋
症状が安定していれば最大3回

海外の処方箋は日本で使える?

海外で発行された処方箋は、日本の薬局では調剤できません。薬剤師法では、薬剤師は医師・歯科医師・獣医師の処方箋によらなければ調剤できないと定められており、実務上は日本の免許を持つ医師の処方箋を指します。[1] 降圧薬、糖尿病や甲状腺の薬、喘息の吸入薬、低用量ピルなど長期の薬を飲み続けるには、日本の医師を受診して改めて処方してもらう必要があります。これは旅行者・留学生・新しく住み始めた人に共通のルールです。

受診時に持っていくもの

薬の外箱やPTPシート、または母国の医師が書いた薬のリストを持参してください。大切なのは、アムロジピンやレボチロキシンといった一般名(国際一般名、INN)です。商品名は国によって異なるからです。あわせて規格(mg)と服用回数も控えておきましょう。東京都の外国人患者向け案内でも、受診前に用意するものとして、本人確認書類や健康保険の資格を確認できるもの(マイナ保険証または資格確認書)とともに「現在服用中の薬やサプリメント」が挙げられています。[2] 規制薬を使っている場合は、日本へ持ち込む際に使った許可書も持参してください。

医師はどうやって日本の同等薬を探すか

医師は商品名ではなく成分で調べます。一般的な長期薬の多くは同じ一般名で日本でも承認されていますが、規格や剤形、製造元が違うことがあります。母国で10mg錠だった薬が日本では5mg錠として売られていれば、用量は同じでも錠数が変わります。こうした調整は医師と薬剤師が行います。当サイトの日本の薬ガイドでは成分名で検索でき、日本の製品名とパッケージに印刷されるカタカナ表記を確認できます。同じ成分の薬がない場合は、同じ系統で日本で使われている薬があるか医師に尋ねてください。

1回の処方で何日分もらえる?

多くの長期薬には、1回の処方で出せる日数の法的な上限はありません。2002年4月以降、医師が医学的に適切と判断した期間を処方するのが原則で、症状が安定していれば30〜90日分が一般的です。[3] 例外が2つあります。新しく承認された医薬品は、薬価収載の翌月から1年間は1回14日分までに制限され、一部の麻薬・向精神薬にも日数制限があります。[3] お使いの薬がこれらに該当する場合は受診回数が増えるため、長めの滞在なら予定に組み込んでください。

リフィル処方箋

2022年4月の診療報酬改定から、症状が安定している患者に対して医師がリフィル処方箋を発行できるようになりました。1枚の処方箋を最大3回まで使え、1回あたりの日数は医師が決め、2回目以降は再診なしで薬局が調剤します。新薬や規制薬など投薬日数に上限がある医薬品と湿布薬は対象外です。1回目は通常の処方箋と同じ期限内に、2回目以降は予定日の前後7日以内に受け取ります。[4] 対応していない医療機関もあるので、希望があれば相談してください。医師が「リフィル可」欄にチェックを入れたら、処方箋は調剤のたびに返却されるので大切に保管してください。

薬局で:有効期間4日とジェネリック

日本の処方箋の有効期間は交付日を含めて4日間で、土日祝日も含まれます。過ぎると再発行が必要です。[2] どの薬局(yakkyoku)でも調剤できます。医師が「変更不可」にしていなければ、薬剤師はジェネリック(後発医薬品)を提案できます。ジェネリックとは、新薬の特許が切れたあとに同じ有効成分を使って作られ、効果や安全性が新薬と同等であると認められた、低価格の医薬品です。「ジェネリックでお願いします」と伝えれば十分です。調剤内容を記録するお薬手帳(またはアプリ)が渡されるので、次回の受診時の薬リストとして保管してください。詳しくは日本の薬局の使い方をご覧ください。

日本にない薬の場合

海外では一般的でも日本では未承認の薬や、規格や適応が異なる薬があります。未承認薬は通常の制度では処方できないため、最も近い承認薬は何か、切り替えが自分に適しているかを医師に相談してください。手持ちの薬を続けたい場合、処方薬は1か月分まで手続きなしで日本に持ち込めます。プレフィルド製剤や自己注射キットなどの注射薬も1か月分までです。これを超える場合は、渡航前に輸入確認(薬監証明)を取得する必要があります。[5] 日本への薬の持ち込みと薬監証明の申請方法もあわせてお読みください。

規制薬物

ADHD治療薬の中枢刺激薬、強い鎮痛薬、一部の睡眠薬・抗不安薬は日本で規制されています。Adderallなどのアンフェタミン製剤は処方箋があっても持ち込めず、リスデキサンフェタミン(Vyvanse)やモルヒネなどの麻薬は麻薬取締部の事前許可が必要です。[6] 日本では、メチルフェニデート(Concerta)とリスデキサンフェタミン(Vyvanse)は、ADHD治療薬の流通管理システムに登録された医師だけが処方でき、調剤できるのも登録された薬局に限られ、患者も登録されます。[7] 麻薬性の鎮痛薬は、麻薬施用者の免許を持つ医師だけが処方できます。睡眠薬や抗不安薬はどの医師でも処方できますが、1回の処方で出せる日数に上限があるものが多く、日本の同等薬が別の成分になることもあります。日本のADHD治療薬を参照し、渡航のかなり前から手続きを始めてください。

インスリンなどの注射薬

インスリン、GLP-1製剤、喘息や関節炎の生物学的製剤はいずれも日本で処方されますが、ペンの銘柄やカートリッジの規格が異なることがあるため、正確な製品名と現在の単位数を持参してください。移動中はインスリンを冷やして保ち、開封後の保管方法は薬剤師に確認しましょう。使用済みの針は、ふつうの家庭ごみと一緒に出さないでください。硬い容器に入れて、処方を受けた医療機関に持ち込むのが望ましい方法とされており、薬局が回収している地域もあるので、処方薬を受け取る際に返却先を尋ねてください。[8]

避妊(低用量ピル)

日本では低用量ピルは処方薬で、市販では買えません。婦人科(fujinka)や多くの一般クリニックで問診の後に処方され、内診は不要なことが多いです。避妊目的の処方は健康保険の対象外で、目安として1か月分およそ2,000〜4,000円に診察料が加わるのが一般的ですが、料金は医療機関ごとに決められています。月経困難症など診断名のある治療目的なら同じ薬でも保険が適用されることがあります。同じホルモンの組み合わせでも日本では別の名前で販売されているため、現在使っているシートを持参してください。緊急避妊薬は扱いが異なります。2026年2月2日から、レボノルゲストレルの緊急避妊薬が、厚生労働省の一覧に掲載された薬局で、所定の研修を修了した薬剤師により対面で、処方箋なしで販売されています。厚生労働省は、在庫を確認するため事前に薬局へ電話することを勧めています。[9]

薬を続けるのにかかる費用は?

日本の公的医療保険があれば、原則として自己負担は3割です。目安として、症状の安定した再診と一般的なジェネリック1か月分で合計数千円程度になることが多いです。保険がない場合は全額自己負担で、外国人旅行者には割増の料金を設定する医療機関もあります。診察料は医療機関によって異なりますが、目安としておよそ5,000〜15,000円、薬代は定価で、先発品や注射薬はかなり高くなると考えてください。

自分の言語で受診できるクリニックを探す

血圧、糖尿病、甲状腺、喘息はまず内科(naika)へ、ピルは婦人科へ。当サイトの医療機関検索で、英語・中国語・韓国語で受診できるクリニックを探せます。できれば事前に予約し、常用薬の再処方が目的だと伝えてください。薬の箱の写真を事前に送るよう求めるクリニックもあります。

用語集

  • 処方箋 (shohosen) — 医師が発行する薬の指示書
  • リフィル処方箋 (rifiru shohosen) — 最大3回まで繰り返し使える処方箋
  • 一般名 / 成分名 (ippanmei / seibunmei) — 商品名ではない有効成分の名前
  • ジェネリック / 後発医薬品 (jenerikku / kohatsu iyakuhin) — 同じ有効成分の後発品
  • お薬手帳 (okusuri techo) — 調剤の記録帳
  • 薬局 (yakkyoku) — 処方箋を調剤する店
  • 内科 (naika) — 内科
  • 婦人科 (fujinka) — 婦人科
  • 低用量ピル (teiyoryo piru) — 経口避妊薬
  • 薬監証明 (yakkan shomei) — 医薬品の輸入確認証(2020年9月以降の正式名称は「輸入確認証」)

よくある質問(FAQ)

母国の医師の処方箋で日本の薬局から薬をもらえますか?

もらえません。日本の薬剤師は日本の免許を持つ医師の処方箋でしか調剤できません。薬の箱や薬のリストを持って日本のクリニックを受診し、再処方してもらってください。

日本の医師は1回に何日分まで処方できますか?

多くの長期薬には上限がなく、症状が安定していれば30〜90日分が一般的です。新しく承認された薬は最初の1年間は1回14日分まで、一部の規制薬にも日数制限があります。

低用量ピルは日本で市販されていますか?

されていません。低用量ピルは処方薬です。婦人科や一般のクリニックで短い問診の後に処方され、避妊目的の場合は自費です。緊急避妊薬は例外で、2026年2月2日から、レボノルゲストレルの緊急避妊薬を、厚生労働省の一覧に掲載された薬局で、研修を修了した薬剤師から対面で、処方箋なしで購入できます。

自分の薬が日本で販売されていない場合は?

未承認薬は通常の制度では処方できません。最も近い承認薬を医師に相談するか、個人輸入の上限内で自分の薬を持ち込み、それ以上必要なら薬監証明を申請してください。

出典

  1. e-Gov法令検索 — 薬剤師法 第23条(処方せんによる調剤) laws.e-gov.go.jp
  2. 東京都保健医療局 — 医療機関のかかり方(持ち物、処方箋の有効期間4日) hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp
  3. 厚生労働省 — 新医薬品の処方日数制限について(14日ルール、平成14年4月以降の投薬日数制限撤廃)(PDF) mhlw.go.jp
  4. 厚生労働省 — 令和4年度診療報酬改定の概要(調剤):リフィル処方箋の仕組み(PDF) mhlw.go.jp
  5. 厚生労働省 — 医薬品を個人で持ち込む方への案内(英語) mhlw.go.jp
  6. 関東信越厚生局麻薬取締部 — 麻薬・向精神薬・覚醒剤原料の携帯輸入(英語) ncd.mhlw.go.jp
  7. 厚生労働省 — メチルフェニデート塩酸塩製剤(コンサータ錠)の使用にあたっての留意事項について(令和元年9月4日通知) mhlw.go.jp
  8. 環境省 — 在宅医療に伴い家庭から排出される廃棄物の適正処理について(通知) env.go.jp
  9. 厚生労働省 — 要指導医薬品である緊急避妊薬の販売が可能な薬局等の一覧 mhlw.go.jp

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療の代替ではありません。必ず医師にご相談ください。

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