家族と子ども

子どもが病気になったら?日本の小児科のかかり方を解説

日本の小児医療の受け方を解説します。自治体のこども医療費助成と医療証、夜間の相談窓口 #8000、119番を呼ぶ目安、無料の定期予防接種と乳幼児健診まで。

この記事の医学監修

別府 仙梨Senri Beppu, MD

倉重病院 理事長・循環器内科医

日本語版は、私が医師として確認しています。

日本に住む海外の友人が多く、日本でどのように医療を受けたらいいのか分からず困っているという話をよく聞いていました。また、医師として働く中で救急外来に来られる海外の患者さんの中には「自分の国の言語が通じるところがない。」「どこを受診すれば良いか分からない。」などのご意見をいただき受診するだけでもハードルが高い事をより感じました。何か助けられる手段はないかと考えている時にJapan Medical Pressと出会い関わらせていただきました。日本語を母国語としていない一人でも多くの方が日本で安心して医療を受けられるように分かりやすく正しい情報を提供させていただきたいと思います。

プロフィールを見る
要点
診療科
中学生くらいまでは小児科
費用
保険と自治体の助成により、医療証を提示すれば窓口は無料か少額の定額が一般的
夜間
迷ったら #8000 に相談、危険な症状があれば 119 番

子どもはまず小児科へ

日本では、子どもは家庭医ではなく小児科(shōnika)で診てもらうのが基本です。小児科のクリニックは発熱や発疹から予防接種、発育の相談まで幅広く対応し、おおむね中学生くらいまでが対象です。中高生は小児科と内科のどちらでも受診できます。総合病院の小児科は紹介や救急が中心なので、日常的な病気はまず近所のクリニックへ行きましょう。

子どもの受診はいくら?こども医療費助成

公的医療保険に加入している場合、病院の窓口で支払う医療費は、原則として大人は医療費全体の3割です。これに対して、就学前の子どもは2割の負担です。さらに、すべての都道府県と市区町村が「こども医療費助成(kodomo iryōhi josei)」を実施しており、残りの自己負担の一部または全部を助成しています。[1] 内容は自治体ごとに決まります。2025年4月1日時点では、通院・入院ともに「18歳になった後の最初の3月31日まで」を助成対象としている自治体が最も多く、通院では1,741市区町村のうち1,576市区町村がこの年齢までを対象としています。また、多くの自治体では所得制限を設けていません。医療機関の窓口での自己負担については、1,319自治体では原則として負担がなく、422自治体では1回数百円程度の自己負担があります。[1] つまり、保険と助成の対象となる子どもは、受診しても無料か数百円で済むのが一般的です。助成の対象は保険診療のみで、健診・予防接種・市販薬は対象外です。[2]

医療証と持ち物

助成を受けるには、子どもを健康保険に加入させたうえで、市区役所・町村役場に申請して「医療証(iryōshō)」を交付してもらいます。たとえば東京都では乳幼児医療費助成制度(マル乳)があり、6歳に達した後の最初の3月31日までの乳幼児にマル乳医療証を交付します。就学後は別の医療証になります。[2] 受診時は、医療証と子どものマイナ保険証(持っていない場合は資格確認書)を一緒に窓口に提示します。都道府県外の医療機関や、医療証を扱わない医療機関で受診した場合は、いったん自己負担分を支払い、領収書を添えて後日お住まいの自治体に申請すると払い戻されます。[2] 予防接種や健診の記録である母子健康手帳(boshi kenkō techō)と、子どもが飲んでいる薬も持参しましょう。

夜に子どもの具合が悪くなったら?#8000 と夜間急病センター

夜間や休日に子どもの具合が悪くなり、病院に行くべきか迷ったときは、全国共通の「子ども医療電話相談 #8000」に電話してください。小児科医や看護師が、症状への対処法や受診の必要性について助言します。47都道府県すべてで実施されており、#8000 にかけるとお住まいの都道府県の窓口に自動的に転送されます。実施時間は都道府県によって異なり、24時間対応のところもあれば、主に夜から翌朝までのところもあります。# が押せない電話向けに、各都道府県が通常の電話番号も公開しています。[3] 対応は日本語なので、日本語を話せる友人や翻訳アプリを用意しておくと安心です。多くの市には夜間急病センター(yakan kyūbyō sentā)や休日夜間急患センターがあり、小児科の窓口を設けています。救急車を呼ぶほどではないが朝まで待てない病気のための施設です。

子どもで119番を呼ぶのはどんなとき?

15歳以下の子どもに、総務省消防庁が示す次のような症状があるときは、迷わず119番で救急車を呼んでください。くちびるの色が紫色、顔色が明らかに悪い。激しい咳やゼーゼーして呼吸が苦しそう、呼吸が弱い。手足が硬直している。頭を痛がってけいれんがある。けいれんが止まらない、止まっても意識がもどらない。意識がない(返事がない)またはもうろうとしている。頭を強くぶつけて出血が止まらない・意識がない・けいれんがある。激しい下痢や嘔吐で水分が取れず、意識がはっきりしない。嘔吐が止まらない、激しい腹痛、便に血がまじった。物をのどにつまらせた。ひどいやけど、交通事故、おぼれた、高いところから落ちた。虫に刺されて全身にじんましんが出て顔色が悪い。生後3か月未満の乳児の様子がおかしい。消防庁は、保護者から見て「いつもと違う、様子がおかしい」場合も呼ぶよう案内しています。[4][7] 119番では住所、子どもの年齢、何が起きたかを聞かれます。多くの消防本部は電話通訳につなげるので、電話を切らずに待ってください。

予防接種:定期接種は無料、任意接種は自己負担

日本の子どもの予防接種は、予防接種法に基づく「定期接種(teiki sesshu)」と、「任意接種(nin'i sesshu)」に分かれます。A類疾病の定期接種はお住まいの市町村内で受ければ公費負担で、対象年齢のうちは保護者の支払いはありません。おたふくかぜや季節性インフルエンザなどの任意接種は、家庭の希望で受けるもので、原則として自己負担です。[5] 定期接種は生後2か月から始まり、ロタウイルス、小児用肺炎球菌、B型肝炎、五種混合(ジフテリア・破傷風・百日せき・ポリオ・Hib)、BCG、麻しん風しん(MR)、水痘、日本脳炎、二種混合(DT)、HPVが含まれます。市町村から各ワクチンの予診票(yoshinhyō)が届くので、母子健康手帳と一緒にクリニックへ持って行きます。接種日とロット番号は手帳に記録されます。海外で接種した場合は記録を持参してください。国によってワクチンの種類や時期が違うため、小児科医が何が残っているかを判断します。

乳幼児健診と学校の健康診断

市町村には1歳6か月児と3歳児の健診を実施する法律上の義務があり、ほとんどの自治体は3〜4か月児健診も行っています。1か月児や5歳児など、他の時期を加える自治体もあります。自治体の集団健診は基本的に無料で、結果は母子健康手帳に記入されます。[6] 就学後は学校保健安全法に基づき、毎学年、学校で健康診断が行われます。身長・体重、視力、聴力、歯、学校医の診察などが対象で、結果は家庭に通知されます。

保育園・学校の発熱時のルール

保育所や幼稚園には、病気の子どもについての登園基準(tōen kijun)があり、国のガイドラインをもとに地域の医師会などと協議して決められています。一般に、発熱がある、元気がない、嘔吐や下痢があるといった場合は登園を控えるよう求められ、日中に発熱した場合は迎えに来るよう連絡があります。インフルエンザ、水痘、おたふくかぜなどの感染症には登園停止の期間が決まっており、登園再開の際に医師の意見書や保護者の登園届の提出を求められることがあります。入園時に園の書面のルールをもらっておきましょう。

子どもの薬

日本では、子どもの薬の量は体重と年齢から医師が決めます。処方薬は錠剤ではなく粉薬(konagusuri)やシロップで出されることが多いです。大人用の市販薬を子どもに与えたり、大人用の表示から量を計算したりしないでください。サプリメントを含め、子どもが飲んでいるものはすべて医師に伝えましょう。処方薬はクリニックの近くの薬局で受け取ります。詳しくは日本の薬局の使い方をご覧ください。

言葉の通じる小児科を探す

小児科の検索で小児科のあるクリニック・病院を探し、病院検索で対応言語を絞り込めます。英語が通じないクリニックでは、症状、始まった時期、体温、食べたものと飲んだものを紙に書いて受付で見せると伝わりやすくなります。

用語集

  • 小児科(shōnika)— 子どもの診療科
  • こども医療費助成(kodomo iryōhi josei)— 自治体による子どもの医療費の助成
  • 医療証(iryōshō)— 助成を受けるための証。自治体により乳幼児医療証・子ども医療証など
  • 母子健康手帳(boshi kenkō techō)— 妊娠から乳幼児期までの健康記録
  • 定期接種(teiki sesshu)— 法律に基づく予防接種/任意接種(nin'i sesshu)— 希望で受ける予防接種
  • 乳幼児健診(nyūyōji kenshin)— 乳幼児の健康診査
  • 夜間急病センター(yakan kyūbyō sentā)— 夜間の急病に対応する診療所
  • 登園(tōen)— 保育園・幼稚園に通うこと/登園届(tōen todoke)— 登園再開時の届け

よくある質問(FAQ)

外国人住民もこども医療費助成を受けられますか?

受けられます。住民登録をして国民健康保険か勤務先の健康保険に加入していれば、市区役所・町村役場で医療証を申請できます。短期滞在者は対象外です。

#8000 は英語で相談できますか?

対応は日本語です。日本語を話せる友人や翻訳アプリを用意してください。緊急時は 119 番へ。多くの消防本部は通訳につなげます。

子どもの予防接種は無料ですか?

定期接種は対象年齢のうちにお住まいの市町村内で受ければ公費負担です。おたふくかぜや季節性インフルエンザなどの任意接種は原則自己負担です。

保育園で子どもが発熱したらどうなりますか?

園から迎えに来るよう連絡があります。園ごとに登園再開の基準があり、感染症によっては医師の意見書を求められることがあります。

出典

  1. こども家庭庁 — 令和7年度「こどもに係る医療費の助成についての調査」 cfa.go.jp
  2. 東京都福祉局 — 乳幼児医療費助成制度(マル乳) fukushi.metro.tokyo.lg.jp
  3. 厚生労働省 — 子ども医療電話相談事業(♯8000)について mhlw.go.jp
  4. 厚生労働省(上手な医療のかかり方) — こんな時は迷わず119へ kakarikata.mhlw.go.jp
  5. 厚生労働省 — 予防接種 よくある質問(定期接種と任意接種) mhlw.go.jp
  6. こども家庭庁 母子健康手帳情報支援サイト — 乳幼児健診について mchbook.cfa.go.jp
  7. 総務省消防庁 — 救急車を上手に使いましょう(救急車利用マニュアル、PDF) fdma.go.jp

この記事で解決しなかったら JMP AI に聞く →

本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療の代替ではありません。必ず医師にご相談ください。

関連記事