保険とお金

外国人も入れる?日本の健康保険のしくみと保険料をわかりやすく解説

日本に住む外国人が加入すべき公的医療保険を解説。国民健康保険と健康保険の違い、3割負担、高額療養費制度、保険料の決まり方、加入手続きまで。

この記事の医学監修

別府 仙梨Senri Beppu, MD

倉重病院 理事長・循環器内科医

日本語版は、私が医師として確認しています。

日本に住む海外の友人が多く、日本でどのように医療を受けたらいいのか分からず困っているという話をよく聞いていました。また、医師として働く中で救急外来に来られる海外の患者さんの中には「自分の国の言語が通じるところがない。」「どこを受診すれば良いか分からない。」などのご意見をいただき受診するだけでもハードルが高い事をより感じました。何か助けられる手段はないかと考えている時にJapan Medical Pressと出会い関わらせていただきました。日本語を母国語としていない一人でも多くの方が日本で安心して医療を受けられるように分かりやすく正しい情報を提供させていただきたいと思います。

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要点
加入義務
在留期間が3か月を超える住民は全員、初日から
窓口負担
70歳未満の大人は3割
高額な医療費
月ごとの上限あり。超過分は払い戻し

健康保険に入らなければならないのは誰?

日本は国民皆保険の国で、公的医療保険への加入は任意ではありません。国籍や在留資格にかかわらず、在留期間が3か月を超える人は、住み始めたときからいずれかの公的医療保険に加入する義務があります。3か月の待機期間はなく、国民健康保険は住所を登録してから14日以内に届け出る必要があります。[7]主な例外は、日本と母国との間に社会保障協定があり、海外から派遣された一部の労働者が免除される場合です。[1] 加入は法律上の義務であるだけでなく、無保険では受診のたびに医療費を全額支払うことになり、一晩の入院で1年分の保険料を上回ることもあります。

2つの制度、ほぼ同じ給付

公的医療保険への入り口は2つあり、どちらになるかは出身国ではなく働き方で決まります。

  • 健康保険(被用者保険)は勤務先を通じて加入します。運営するのは全国健康保険協会(協会けんぽ)か、企業の健康保険組合です。すべての法人と、常時5人以上を雇う個人事業所は、国籍を問わず正社員を加入させなければなりません。パートタイムでも、労働時間が正社員の4分の3以上なら対象になり、被保険者数が51人以上の事業所では週20時間以上・月額賃金8万8,000円以上で学生でない人も加入します。この8万8,000円の賃金要件は2026年10月に撤廃される予定で、企業規模の要件は2027年10月に36人以上へ引き下げられ、その後段階的に撤廃されます。[1][2][8] 手続きは会社が行い、保険料の半分は会社が負担します。[1]
  • 国民健康保険(国保)はそれ以外の人のための制度です。自営業者、フリーランス、学生、ワーキングホリデー、求職中の人、勤務先が健康保険の適用外の人などが対象です。住所を登録した市区町村の役所で自分で手続きをします。通常は転入届と同じ窓口で加入できます。[1]

2つの制度の給付内容はほぼ同じです。違うのは、保険料を誰が払い、どう計算されるかです。

窓口ではいくら払う?

どちらの保険でも、現役世代の大人は診察・検査・処方薬の公定価格の3割を窓口で支払い、残りは保険者が負担します。[1] 義務教育就学前の子どもは負担割合が低く、70〜74歳は2割ですが、現役並みの所得がある人は3割のままです。[3] すべての市区町村はさらに子どもの医療費を助成しており、自己負担はほとんど、またはまったくありません。対象は18歳に達する年度の末までとする市区町村が最も多いものの、対象年齢や一部負担金の有無は地域によって異なります。お住まいの役所の子育て支援窓口で確認してください。[9]

高額な医療費には月ごとの上限

手術や長期入院では3割でも大きな負担になるため、日本には1か月の自己負担に上限を設ける高額療養費制度があります。保険診療の自己負担が暦月内で上限額を超えると、超えた分が保険者から払い戻されます。上限額は年齢と所得区分によって決まります。2026年8月に上限額が改定され、長期にわたって治療を受ける人のために年間の上限も新設されました。70歳未満で標準的な所得区分(年収およそ370万〜510万円)の場合、厚生労働省の例では医療費100万円に対する自己負担は約9万3,000円です。[4] 高額な治療が予定されている場合は、あとから払い戻しを受けるのではなく、窓口での支払いを上限額までにとどめる方法について、事前に保険者か病院に相談してください。

保険料の額と決まり方

健康保険:保険料は給与に一定の料率をかけて計算され、会社と折半のうえ、給与から天引きされます。[1]

国民健康保険:料率は市区町村ごとに決まるため、同じ所得でも住む街によって保険料が異なります。保険料は所得をもとに計算され、加入する家族の人数に応じて増えます。[1] 所得割の部分は前年に日本で申告した所得をもとにするため、来日したばかりで日本の所得記録がない人は、初年度は基本的な部分だけの負担になり、2年目に上がるのが一般的です。支払いが難しいときは通知を放置せず、役所で減免の相談をしてください。滞納分は徴収の対象になり、高額の未納や長期間の未納は、在留期間の更新や在留資格の変更、永住許可申請の際に不利に扱われます。[10]

家族の扱い

健康保険では、日本に住み、あなたの収入で生計を立てている配偶者・子ども・その他の近親者を、追加の保険料なしで被扶養者にできます。主な条件は収入で、被扶養者の年収は原則130万円未満(60歳以上の人と19〜22歳の学生世代には高めの基準)で、かつあなたの年収の半分未満である必要があります。[1][5] 国民健康保険には被扶養者という仕組みがなく、家族一人ひとりが加入し、その人数が保険料に反映されます。[1]

保険がきかないものは?

公的医療保険が支払うのは、医学的に必要な治療です。次のようなものは対象外です。

  • 美容目的の施術(審美歯科や見た目のための矯正を含む)
  • 一部の歯科材料やインプラントなど、自費の選択肢として提供されるもの
  • 健康診断、大人の予防接種、多くのがん検診(ただし勤務先や自治体が別途助成することが多い)
  • 個室・少人数部屋の追加料金(差額ベッド代)
  • 正常分娩(病気ではないため対象外。ただし別途一時金が支給される)
  • 日本で保険適用が承認されていない薬や治療(海外で承認済みのものも多い)

「自由診療」と説明されたものに同意する前に、必ず確認してください。3割ではなく全額があなたの負担になります。

保険証とマイナンバーカード

日本の保険証は、プラスチックのカードからマイナンバーカードへ移行しました。2024年12月2日以降、従来の保険証は新たに発行されず、既存の保険証も2025年12月1日をもって使えなくなりました。[6] 現在、加入を証明する方法は2つです。

  • マイナ保険証(保険証として登録したマイナンバーカード)。医療機関のカードリーダー、コンビニの端末、またはマイナポータルのアプリで一度登録すれば、受付の顔認証付きカードリーダーにかざすだけで使えます。本人が同意すれば、医師は過去の処方や健診結果を確認できます。[6]
  • 資格確認書。マイナンバーカードを持っていない人や登録していない人には、申請不要で保険者から無料で送られてきます。従来の保険証と同じように使えます。[6]

外国人住民も、住所を登録すればすぐにマイナンバーカードを申請できます。転入届を出す窓口で聞いてみてください。

受付でのこと

受診のたびに、受付でマイナ保険証か資格確認書を提示します。[6]忘れた場合はいったん全額を支払い、多くは同じ月内にカードを持参すれば差額が返金されます。支払いは診察後で、小さなクリニックは現金のみのことが少なくありません。英語や中国語が通じる医療機関を探すには病院検索を、診察後の薬局での流れは薬ガイドをご覧ください。

留学生・ワーキングホリデー・短期滞在

留学生は「留学」の在留資格で、役所で国民健康保険に加入します。所得が少ない・ない人向けの軽減制度を設けている自治体が多いので、加入時に状況を申告してください。ワーキングホリデーの人も、日本の雇用主が健康保険に加入させない限り、国民健康保険に加入します。観光客や短期出張者は住民ではないため加入できず、医療費は全額自己負担になります。医療補償のついた旅行保険が不可欠です。[1]

日本を離れるとき

日本の住所を失った日に保険は終了します。出国前に役所で転出届を出し、その際に、国民健康保険の資格確認書が交付されている場合は返却してください。保険料はその月までで精算され、払い過ぎがあれば日本の銀行口座に還付されます。健康保険は退職とともに終了し、資格確認書(被扶養者の分を含む)が交付されている場合は会社が回収します。

よくある質問(FAQ)

国民健康保険と健康保険はどちらか選べますか?

選べません。勤務条件が健康保険の要件を満たす場合は会社が加入させる義務があります。それ以外の人は役所で国民健康保険に加入します。

母国の旅行保険や民間保険があっても加入が必要ですか?

必要です。3か月を超えて滞在する住民は、他の保険の有無にかかわらず公的医療保険への加入が義務です。民間保険はあくまで補完です。

来日1年目の国民健康保険料はいくらですか?

保険料は市区町村ごとに、日本で申告した所得をもとに決まります。日本での所得記録がない人は初年度は基本的な部分のみで済むことが多く、2年目から増えるのが一般的です。

保険証を持たずに受診したらどうなりますか?

いったん全額を支払うことがあります。多くは同じ月内にマイナ保険証か資格確認書を持参すれば、保険負担分が返金されます。

出典

  1. 東京都保健医療局 — 外国人旅行者・在住者向け医療情報サイト「医療保険」(加入義務、被用者保険と国民健康保険、3割負担) hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp
  2. 日本年金機構 — 適用事業所と被保険者(健康保険・厚生年金保険) nenkin.go.jp
  3. 厚生労働省 — 70歳から74歳の方の医療費の窓口負担についてのお知らせ mhlw.go.jp
  4. 厚生労働省 — 高額療養費制度を利用される皆さまへ mhlw.go.jp
  5. 全国健康保険協会(協会けんぽ) — 被扶養者の認定における特例について(収入要件) kyoukaikenpo.or.jp
  6. 厚生労働省 — マイナ保険証(マイナンバーカードの健康保険証利用) mhlw.go.jp
  7. 厚生労働省 — 国民健康保険の加入・脱退について mhlw.go.jp
  8. 日本年金機構 — 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大(2026年4月17日更新) nenkin.go.jp
  9. こども家庭庁 — 令和7年度「こどもに係る医療費の助成についての調査」(2025年4月1日時点) cfa.go.jp
  10. 出入国在留管理庁 — 在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン(2026年6月最終改定) moj.go.jp

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療の代替ではありません。必ず医師にご相談ください。