検診と予防

日本で予防接種を受けるには?無料・自費の違いと受ける場所を解説

日本で無料の予防接種と自費の予防接種の違い、子どもの定期接種スケジュール、海外から来た子どものキャッチアップ、渡航ワクチン、英文証明書の取り方を解説します。

この記事の医学監修

別府 仙梨Senri Beppu, MD

倉重病院 理事長・循環器内科医

日本語版は、私が医師として確認しています。

日本に住む海外の友人が多く、日本でどのように医療を受けたらいいのか分からず困っているという話をよく聞いていました。また、医師として働く中で救急外来に来られる海外の患者さんの中には「自分の国の言語が通じるところがない。」「どこを受診すれば良いか分からない。」などのご意見をいただき受診するだけでもハードルが高い事をより感じました。何か助けられる手段はないかと考えている時にJapan Medical Pressと出会い関わらせていただきました。日本語を母国語としていない一人でも多くの方が日本で安心して医療を受けられるように分かりやすく正しい情報を提供させていただきたいと思います。

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要点
無料か自費か
定期接種は対象年齢なら住んでいる市区町村で無料。それ以外は医療機関の価格で自費。
受けられる場所
クリニックと病院のみ。薬局では受けられません。要予約。
持ち物
予診票と接種券、母子健康手帳または海外の接種記録、在留カード。

2つの区分:定期接種と任意接種

日本の予防接種は法律上2つに分かれています。定期接種は予防接種法に定められ、市区町村が実施します。A類疾病(子どもの予防接種のほぼすべて)は対象年齢の全員が受けるべきものとされ、住民登録している市区町村内で受ければ公費で無料です。B類疾病は高齢者向けのワクチン(季節性インフルエンザ、新型コロナ、肺炎球菌、2025年4月からは帯状疱疹)で、費用の一部に公費負担がある場合があります。それ以外はすべて任意接種で、受けるかどうかは本人の判断、費用は医療機関が決める価格を全額自己負担し、価格は医療機関によって異なります。[1]

外国人住民にとっての実務上のポイントは単純です。市区役所で住民登録をすれば制度の中に入ります。市区町村はお子さんが対象年齢に達するたびに定期接種の予診票と接種券を郵送し、それを契約医療機関に持参して接種します。対象年齢を過ぎると同じワクチンでも任意接種となり、自己負担になります。

子どもの定期接種スケジュール

定期接種は生後2か月から始まり、10代まで続きます。概要としては、B型肝炎、ロタウイルス、5種混合(ジフテリア・破傷風・百日せき・ポリオ・Hib)、肺炎球菌、結核のBCG、麻しん風しん(MR)、水痘、日本脳炎、11〜12歳のジフテリア・破傷風の追加接種、女子のHPVが含まれます。多くは生後2年のうちに複数回に分けて接種し、MRの2回目は小学校入学前の1年間に受けます。対象年齢と間隔を含む正式なスケジュールは国立健康危機管理研究機構が公表し、毎年更新されます。1年以上前の表を当てにしないでください。[2]

海外から来た子ども

日本に転入した子どもは、国籍にかかわらず、対象年齢内であればすべての定期接種を受けられます。母国の接種記録を持参してください。ワクチン名と接種日が英語で書かれていると理想的です。小児科(shonika)の医師が記録を日本のスケジュールと照らし合わせ、該当する接種回数を数え、残りを計画します。日本脳炎やBCGなど、日本では定期でも母国にはないワクチンが不足しがちです。年度の途中で転入した家庭には予診票が自動的に届かないこともあるので、市区町村の保健担当課に年齢に合った予診票を請求してください。

日本では接種記録を母子健康手帳に残します。母子健康手帳は妊娠届を出した住民に市区町村が交付し、接種のたびに医療機関が記入します。小さなお子さんを連れて転入した家庭も、通常は市区役所で手帳を受け取れます。多くの自治体で複数言語の外国語併記版が用意されています。手帳は保育園・学校・将来の転居のときに必要になるので保管してください。

大人が自費で受けることが多いワクチンは?

65歳未満の大人の場合、ほぼすべてが任意接種です。最も多いのは季節性インフルエンザです。価格は医療機関が決め、目安として1回あたり3,000〜5,000円程度、大規模なクリニックではやや安く、都心ではやや高いことがあります。65歳以上の方と、心臓・腎臓・呼吸器の重い病気やHIVによる免疫機能の障害がある60〜64歳の方は、毎年秋にB類の定期接種として受けられ、市区町村が費用の一部または全額を負担します。自治体によっては独自に子どもや妊婦にも助成しています。[4] 流行期の時期はインフルエンザのページをご覧ください。

A型肝炎・B型肝炎、65歳未満の肺炎球菌、定期接種の対象年齢以外の帯状疱疹、MRの追加接種、破傷風の追加接種など、その他の大人向けワクチンは医療機関の価格で自費です。このうち2つは、一定の年齢ではB類の定期接種として受けられ、自己負担額は市区町村が決めます。帯状疱疹はその年度に65歳になる方(2025年度から2029年度までの経過措置として、その年度に70・75・80・85・90・95・100歳になる方も対象)、肺炎球菌は65歳の方が対象です。重い基礎疾患のある60〜64歳の方も対象になることがあります。[7] 複数回接種のワクチンは合計額が大きくなるため、予約前に見積もりを書面でもらいましょう。

HPV

HPVワクチンは小学6年生から高校1年生相当の女子が定期接種として無料で受けられ、9価ワクチンが使われます。定期接種の機会を逃した平成9年度〜平成19年度生まれの女性を対象としたキャッチアップ接種は2022年4月から2025年3月まで実施されました。平成9年度〜平成20年度生まれの女性でこの期間に1回以上接種した方は、2026年3月31日まで残りの接種を無料で受けられました。それまでに接種を終えなかった方は、現在は任意接種として自費になります。男子は国の制度の対象外ですが、一部の自治体が独自に助成しています。[3]

新型コロナワクチンは誰が受けられて、費用は?

新型コロナワクチンはインフルエンザと同じ位置づけになりました。65歳以上の方と、一定の基礎疾患がある60〜64歳の方を対象に、毎年秋冬に年1回、B類の定期接種として実施され、自己負担額は市区町村が設定し、低所得の方は免除されます。それ以外の方は任意接種として全額自己負担で受けられます。[5]

海外渡航のためのワクチン

日本から黄熱、狂犬病、腸チフス、A型肝炎、髄膜炎菌のリスクがある地域へ渡航する場合、厚生労働省検疫所の海外渡航者向け情報サイト「FORTH」は、渡航ワクチンの多くが2〜3回接種を要するため、なるべく早く、できるだけ出発の3か月以上前から準備を始めるよう勧めています。大学病院や大規模病院に併設されていることが多い渡航外来(トラベルクリニック)で、渡航先に合わせた接種計画を相談してください。黄熱の接種と国際証明書は検疫所と指定機関が扱います。渡航ワクチンはすべて任意接種で全額自己負担です。[6]

どこで受けられる?持ち物は?

予防接種はクリニックや病院で受けるもので、薬局では受けられません。日本の薬剤師は注射をしないため、ドラッグストアのカウンターでは対応できません。子どもの定期接種は小児科、大人やインフルエンザの接種は内科(naika)、海外渡航は渡航外来が担当します。ほとんどの医療機関で予約が必要で、任意接種のワクチンは予約後に取り寄せるところも多くあります。外国語対応のあるクリニックは病院検索で探せます。

持ち物は、在留カード、マイナンバーカードまたは資格確認書(保険は予防接種には使えませんが、本人確認に使います)、定期接種の予診票と接種券、子どもの場合は母子健康手帳、海外の接種記録です。接種前に発熱・アレルギー・過去の副反応について短い問診があり、接種後は15〜30分ほど待機します。

副反応、報告、救済制度

1〜2日程度の軽い発熱、接種部位の痛み、だるさはよくある反応です。重い反応が疑われる場合、医師が国の副反応疑い報告制度に報告します。定期接種のワクチンで健康被害が残った場合、予防接種法に基づく予防接種健康被害救済制度があり、因果関係が認定されれば医療費や障害年金などが給付されます。申請は市区町村を通じて行います。任意接種はPMDAが運営する医薬品の別の救済制度の対象です。どちらが適用されるか、接種前に医療機関に確認してください。[1]

旅行者と証明書

短期滞在者は市区町村の制度の対象外で、どのワクチンも全額自己負担です。すべてのワクチンを常備している医療機関ばかりではないので、事前に電話で確認してください。渡航・進学・就労で証明が必要な場合は、英文接種証明書を依頼します。多くの医療機関が有料で数日以内に発行し、新型コロナと黄熱の証明書には独自の書式があります。後日発行する証明書は元の記録と照合するため、日本語の原本も保管しておきましょう。

用語集

  • 予防接種 (yobo sesshu) — ワクチン接種
  • 定期接種 (teiki sesshu) — 予防接種法に基づく接種
  • 任意接種 (nin'i sesshu) — 自己負担で受ける接種
  • 予診票 (yoshinhyo) — 接種前の問診票と接種券
  • 母子健康手帳 (boshi kenko techo) — 妊娠・出産・子どもの健康と接種の記録帳
  • 接種済証 (sesshu zumisho) — 接種記録の証明
  • 渡航外来 (toko gairai) — トラベルクリニック
  • 検疫所 (ken'eki-sho) — 空港・港などの検疫機関
  • 副反応 (fukuhanno) — 接種後の望ましくない反応

よくある質問(FAQ)

日本に来たばかりです。子どもの定期接種は無料で受けられますか?

受けられます。住民登録後、対象年齢内の定期接種は市区町村の契約医療機関で無料です。市区町村の保健担当課に予診票を請求し、海外の接種記録を持参してください。

健康保険は予防接種に使えますか?

使えません。定期接種は市区町村が費用を負担し、任意接種は医療機関の価格で自己負担です。自治体によってはインフルエンザなどに独自の助成があります。

薬局でインフルエンザの予防接種を受けられますか?

受けられません。日本の薬剤師は注射を行いません。内科・小児科のクリニックか病院で予約してください。

英文の接種証明書はどうやって取りますか?

接種した医療機関に英文接種証明書を依頼します。多くは有料で数日以内に発行します。日付を確認できるよう、母子健康手帳または元の記録を持参してください。

出典

  1. 厚生労働省 — 予防接種の基礎知識 Q&A(定期接種と任意接種、A類・B類、公費負担、副反応疑い報告、健康被害救済制度) mhlw.go.jp
  2. 国立健康危機管理研究機構 — 定期/任意予防接種スケジュール(2026年8月1日版) id-info.jihs.go.jp
  3. 厚生労働省 — HPVワクチン Q&A(定期接種の対象、9価ワクチン、2026年3月31日までのキャッチアップ接種) mhlw.go.jp
  4. 厚生労働省 — インフルエンザワクチン(季節性)(65歳以上の定期接種、費用は医療機関により異なる、自治体の助成) mhlw.go.jp
  5. 厚生労働省 — 新型コロナワクチン Q&A(65歳以上の秋冬のB類定期接種、任意接種は自己負担) mhlw.go.jp
  6. 厚生労働省検疫所 FORTH — 海外渡航のためのワクチン forth.go.jp
  7. 厚生労働省 — 高齢者の肺炎球菌ワクチン mhlw.go.jp

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療の代替ではありません。必ず医師にご相談ください。

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