こころの健康

心がつらいときは?日本でこころの相談・受診をする方法を解説

精神科と心療内科の違い、保険でカバーされる範囲、母国からの薬の継続、自立支援医療、英語で相談できる窓口をまとめました。

この記事の医学監修

別府 仙梨Senri Beppu, MD

倉重病院 理事長・循環器内科医

日本語版は、私が医師として確認しています。

日本に住む海外の友人が多く、日本でどのように医療を受けたらいいのか分からず困っているという話をよく聞いていました。また、医師として働く中で救急外来に来られる海外の患者さんの中には「自分の国の言語が通じるところがない。」「どこを受診すれば良いか分からない。」などのご意見をいただき受診するだけでもハードルが高い事をより感じました。何か助けられる手段はないかと考えている時にJapan Medical Pressと出会い関わらせていただきました。日本語を母国語としていない一人でも多くの方が日本で安心して医療を受けられるように分かりやすく正しい情報を提供させていただきたいと思います。

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要点
保険診療の自己負担
3割。自立支援医療で1割に
カウンセリング
原則として保険対象外
英語の相談窓口
TELL 0800-300-8355。危険が迫るときは119

2つの診療科、どちらも処方できます

こころの不調を診る医療機関には、主に2つの看板があります。精神科は、睡眠の悩みや不安から、うつ病、双極性障害、統合失調症まで、こころの病気全般を診ます。心療内科は内科から発展した分野で、腹痛・頭痛・動悸など、ストレスが背景にある身体の症状を中心に扱います。実際には両者は大きく重なり、両方を掲げるクリニックも多くあります。どちらの医師も診断を行い、抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬を処方し、必要に応じて他の医療機関を紹介できます。迷ったら、どちらを最初に受診しても構いません。都市部では「メンタルクリニック」と呼ばれる小規模な外来専門のクリニックが最も一般的です。

こころの治療に保険は使える?費用は?

日本の公的医療保険に加入していれば、精神科・心療内科の診察も他の診療科と同じ扱いです。現役世代は医療費の3割を窓口で支払い、残りは医療保険の保険料と公費でまかなわれます。小学校入学前の子どもは2割、70歳以上の人は年齢と所得に応じて1〜3割の負担です。[1] 薬局で受け取る処方薬にも同じ割合で保険が適用されます。一方、心理士によるカウンセリングは原則として保険の対象外で、施設ごとに1回あたりの料金が決められ、全額自己負担になります。保険診療と並行してカウンセリングを提供するクリニックもあるため、予約前にどこまでが保険適用で、どこからが自費かを確認してください。日本の保険に加入していない旅行者は診察料を全額支払います。ただし、加入している海外旅行保険によっては、条件を満たせば補償の対象になることがあります(精神疾患を補償の対象外としている保険も多いため、事前に保険会社に確認してください)。外国人患者の多いクリニックは、料金を英語で公開していることが多いです。

自分の言語で話せる医師はどう探す?

自分の気持ちを自分の言葉で伝えられることは、メンタルヘルスの診療では特に大切です。当サイトの病院検索では言語で絞り込めるので、英語・中国語・韓国語に対応した精神科・心療内科を探せます。大学病院や都道府県立の大きな病院には医療通訳や電話通訳がある場合が多く、小さなクリニックではバイリンガルの医師が対応することもあります。予約の電話では、必要な言語と初診であることを伝えてください。人気のクリニックは数週間先まで予約が埋まることもあるため、手持ちの薬が少ない場合は早めに動きましょう。

母国で始めた薬を続ける

広く使われている抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬・気分安定薬の多くは日本でも承認されていますが、商品名や規格は異なります。各薬の一般名と現在の用量を書面で持参すると、医師が対応する薬を見つけやすくなります。薬の持ち込みルールは向精神薬に対してより厳格です。定められた数量以内なら手続きは不要ですが、それを超える量や注射剤には医師の証明書が必要で、1か月分を超える場合は、渡航前に地方厚生局で薬監証明(輸入確認証)も取得する必要があります。[3][7] アンフェタミンを含むADHD治療薬(Adderallなど)は覚醒剤として扱われ、処方箋があっても持ち込めません。リスデキサンフェタミンは事前の許可が必要です。[3] 当サイトの医薬品ガイドでは、メンタルヘルスとADHDのグループを含め、日本で入手できる薬を出発前に確認できます。

継続治療の費用を抑える制度

通院を続ける必要がある場合は、自立支援医療(精神通院医療)について医師に相談してください。精神科の外来治療を対象とした国の制度で、認定されると指定した医療機関と薬局での自己負担が3割から1割に下がり、世帯の所得に応じた月額の上限も設けられます。対象は診察、精神療法、処方薬、デイケア、訪問看護などで、入院は含まれません。申請は市区町村の窓口で行い、医師の診断書が必要です。住民登録のある外国人も同じ手続きで申請できます。[2]

職場と大学でのサポート

労働安全衛生法により、事業者には2015年からストレスチェックの実施が義務付けられています。現在は従業員50人以上の事業場が対象で、2028年4月からは50人未満の事業場にも義務が広がります。[4] 結果は本人に直接通知され、本人が同意しない限り会社に個人の結果は伝わりません。高ストレスと判定された場合は、産業医との面接指導を申し出ることができます。英語対応のカウンセリングを含む従業員支援プログラム(EAP)を契約している企業もあります。大学には学生相談室があり、在学生は無料で利用でき、英語で対応できるカウンセラーがいることも多いです。留学生担当の窓口で案内してもらえます。

初診の流れ

マイナ保険証(保険証として登録したマイナンバーカード)、持っていない場合は資格確認書 [8]、紹介状があればその書面、服用中の薬のリスト、お薬手帳を持参してください。まず症状・睡眠・食欲・仕事や家庭の状況についての問診票に記入し、その後、医師と30分前後(クリニックによってはもう少し長く)話します。再診はより短時間です。医師は、薬、生活リズムの見直し、精神療法、あるいは経過を見るための再受診を提案することがあります。考える時間がほしいと伝えること、薬の目的や注意すべき副作用を尋ねること、通訳できる友人に同席してもらうことは、いずれも問題ありません。最初のクリニックが合わないと感じたら、別の医療機関で意見を聞くのも日本では普通のことです。

今すぐ助けが必要なとき

自分や近くの人に差し迫った危険があるときは、119(救急)または110(警察)に電話してください。誰かと話したいときは、TELLライフラインが英語で無料の電話相談を0800-300-8355で提供しています。対応時間は、火曜〜木曜が9:00〜23:00、金曜が9:00〜翌土曜2:00、土曜9:00から月曜23:00までは連続です。ただし、この時間は電話と、毎日16:00に始まるチャット相談とで分担されており、電話が常につながるわけではありません(たとえば火曜〜金曜は、16:00〜19:30と深夜はチャットのみです)。電話をかける前にウェブサイトのスケジュールを確認してください。[5][9] よりそいホットライン(0120-279-338)は24時間対応で、音声ガイダンスから外国語の窓口を選べます。[6] こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)は各都道府県の相談窓口に日本語でつながりますが、対応時間は地域によって異なります。[6] 早めに相談することは最後の手段ではなく、ごく自然な一歩です。

用語集

  • 精神科(seishinka)— こころの病気全般を診る診療科
  • 心療内科(shinryō-naika)— ストレスが関わる身体症状を中心に診る診療科
  • メンタルクリニック(mentaru kurinikku)— 外来専門のこころの診療所
  • カウンセリング(kaunseringu)— 心理士による相談。原則として保険対象外
  • 初診(shoshin)— 初めての受診
  • 自立支援医療(jiritsu shien iryō)— 精神科外来の自己負担を1割に下げる制度
  • ストレスチェック(sutoresu chekku)— 職場で行うストレスの調査票
  • 学生相談室(gakusei sōdanshitsu)— 大学の学生向け相談窓口

よくある質問(FAQ)

精神科を受診するのに紹介状は必要ですか?

必要ありません。クリニックに直接予約できます。大きな病院では紹介状のない初診に追加料金がかかることがあるため、まずは近くのクリニックが受診しやすいでしょう。

ADHDの薬は日本で処方してもらえますか?

処方してもらえる薬もあります。メチルフェニデート(Concerta)とリスデキサンフェタミン(Vyvanse)は、ADHD治療薬の流通管理システムに登録された医師だけが処方でき、患者も一人ひとり登録されます。Adderallなどアンフェタミンを含む製品は禁止されており、持ち込めません。薬が少なくなる前に医薬品ガイドを確認し、日本の精神科医に相談してください。

英語でカウンセリングを受けられますか?

受けられます。TELLや一部の民間のカウンセリングルームが英語で対応しており、通常は全額自己負担です。英語を話す心理士がいる精神科クリニックもあります。

危機的な状況でなくてもTELLライフラインに電話してよいですか?

はい。ライフラインは緊急時だけでなく、気持ちの重荷について誰かと話したい人のための窓口です。

出典

  1. 厚生労働省 — 医療費の自己負担(年齢別の負担割合、PDF) mhlw.go.jp
  2. 国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト — こころの病気への助成(自立支援医療) kokoro.ncnp.go.jp
  3. 厚生労働省 麻薬取締部 — 医薬品の日本への持ち込み(向精神薬・覚醒剤) ncd.mhlw.go.jp
  4. 厚生労働省 — ストレスチェック制度 mhlw.go.jp
  5. TELL Japan — TELLライフライン(英語の電話相談、対応時間とチャット) telljp.com
  6. 厚生労働省 — 電話相談窓口(よりそいホットライン、こころの健康相談統一ダイヤル) mhlw.go.jp
  7. 厚生労働省 — 医薬品等の個人輸入について mhlw.go.jp
  8. 厚生労働省 — マイナンバーカードの健康保険証利用について mhlw.go.jp
  9. TELL Japan — TELL Hours(ライフラインの電話・チャットの対応時間) telljp.com

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断・治療の代替ではありません。必ず医師にご相談ください。